【2019年2月20日追記】
2018年11月の中国大会で3×3の単発世界記録が「3.47秒」に更新されました!詳しい情報が分かり次第、別の記事でご紹介します!
以下、元世界記録をどうぞ!
2018年8月時点の世界キューブ協会(World Cube Association)に公式に認定されたルービックキューブ(3×3)の単発世界記録は「4.22秒」です。
どうして6面がバラバラな状態のルービックキューブが5秒弱で全て揃えられるのか?
その神業とも言える完成までの秘密を解説します。
目次
ルービックキューブ世界記録誕生の瞬間
まずは世界記録誕生の瞬間を動画で見て頂きたい。
常人には早すぎてよく分かりません・・・それは追って解説するとして。
興味深いのは、世界記録を出さんとする周囲のライバル達も一緒に祝福するこのムード。
ルービックキューブって素晴らしいです!
世界記録保持者
「Feliks Zemdegs」
(フェリックス ゼムデグス)
ルービックキューブ(3×3)の単発世界記録「4.22秒」の記録保持者はこんな人です。
- 名前:Feliks Zemdegs
(フェリックス ゼムデグス) - 国籍:オーストラリア
- 年齢:1995年12月20日生まれの22歳
YouTubeに自ら動画をアップしており、映像からは好青年な印象を受けます。
初めてルービックキューブを買ったのが2008年で、その2カ月後には平均タイム19.73秒を出していたそうです。恐ろしや。
世界記録時の使用ルービックキューブ
フェリックス氏が「4.22秒」を出した時に使用していたキューブがこれです。
「GAN356 Air SM」(ガンサンゴーロク エア エスエム)というキューブ!
普通にAmazonとかで販売しています。超手軽に手に入ります。
現在の最新ルービックキューブの比較はこちらの記事でまとめています。

1個5,000円を超えるルービックキューブってかなり高額に感じるかもしれませんが、世界記録保持者と同じ最高級の性能を有していてこの価格ならむしろ安く感じます。
価格の安い他のルービックキューブと何が違うかというと
- 回転が軽いので指一本で回せる。
- コーナーカット処理があり、多少強引に回せる。
- 磁石によるアシストがり、綺麗に回せる。
高額なだけあって性能も優れています。
最速の解き方は「CFOP法」
ルービックキューブは毎回やみくもに揃えているわけではありません。
効率よく揃えるための「解法」がいくつか存在していてその解き方に則って揃えています。
その中で最もスタンダードとされている解法が「CFOP法」という解法です。
実際に世界記録を出した時、フェリックスも使用していました。
4.22秒の秘密を知るためには「CFOP法」を簡単に理解する必要があります。
工程 | 暗記パターン |
①Cross(クロス)を揃える![]() |
暗記不要 |
②F2L⇒下の2段を揃える![]() |
41パターン |
③OLL⇒上段の向きを揃える![]() |
57パターン |
④PLL⇒上段の位置を揃える![]() |
21パターン |
合計 | 119パターン |
このような①~④の工程を経て解いていきます。
それぞれの工程の頭文字をとって「CFOP法」と呼ばれています。
揃えていく際は、手元のルービックキューブの形を把握して、CFOP法で定められている回転パターンを回す事でキューブが揃っていきます。
CFOP法でキューブを揃えるためには、全119パターンの暗記が必要になります。
しかも、ただ暗記すれば良いわけではありません。
パターンを暗記する時は、揃えたい場所を自分の正面に持ってきて回し方を暗記しますが、実際に揃える時に何度もキューブを持ち替えていてはタイムロスになります。
なので、キューブの向きがどっちを向いていても揃えたい所を揃えられるように「裏F2L」といったテクニックも必要になり、実際に使用されるパターン数はもっと多くなります。
世界記録時の実際の解き順
まず、記録会の流れですが
- 運営側がスクランブルする(ルービックキューブを崩す事)
- 競技者が15秒間のインスペクションタイム(事前にキューブの位置を確認する)
- 両手をタイマーに置く
- ルービックキューブを揃える
- 両手をタイマーに置く
4.22秒というのは③~⑤の間のタイムを指しています。
スクランブル
キューブが揃っている状態からどのように崩したかを表します。
L U2 D R’ F2 R2 L2 U R’ F’ D2 F2 D2 B U L2 B2
回転記号だと分かりづらいので画像だとこんな感じです。
フェリックスはこの状態からキューブを揃えていきます。
インスペクションタイム
キューブを揃え始める前にスクランブルされたキューブを最大15秒間確認する事ができます。冒頭の動画ではインスペクションタイムから始まっています。
この時点でフェリックスは頭の中で「先読み」をしています。
①Cross
一番下の段の4つのブロックを揃えます。
F’ R’ D’ R y R U’ R’ u’

4手回した時に、下段の四隅の一つが正しい位置にいたので、Cross中にF2Lを一つ揃えてしまっている(X-Crossというテクニック)
②F2L
下段と中段の四隅を揃えるのでそれぞれ4回揃える必要があります。
1stペア:Cross中に完了済み
2ndペア:U’ R U R’
3rdペア:y’ L’ U2 L U’ L’ U L
4thペア:U y’ U R’ U’ R U R’ U’ R
ここでは特に変わったポイントはありません。
③OLL
上面の黄色を揃えます。
U’ R U2 R2′ F R F’ R U2 R’
ここでも変わったポイントはありませんでした。
が!揃え終わってみると!
「PLLスキップ」が発生してルービックキューブが6面揃ってしまいました!
④PLL
なし(※OLLの時点でルービックキューブ完成)
工程スキップの発生
CFOP法は6面完成まで全部で4工程ありますが、出現するパターンによっては工程がスキップされる時があります。
例えば今回のようなOLLを回し終えた時点で6面全てが完成しているパターンです。
単純にPLLがスキップされる確率はこんな感じです。
全21種のPLL名称 | パターン数 | 発生確率 |
Ga、Gb、Gc、Gd | 16/72 | 約22.2% |
Ua、Ub | 8/72 | 約11.1% |
Aa、Ab | 8/72 | 約11.1% |
Ra、Rb | 8/72 | 約11.1% |
Ja、Jb | 8/72 | 約11.1% |
V | 4/72 | 約5.6% |
F | 4/72 | 約5.6% |
Y | 4/72 | 約5.6% |
T | 4/72 | 約5.6% |
Z | 2/72 | 約2.8% |
E | 2/72 | 約2.8% |
Na、Nb | 2/72 | 約2.8% |
H | 1/72 | 約1.4% |
Skip | 1/72 | 約1.4% |
ルービックキューブを72回揃えれば、そのうち1回は「PLLスキップ」が発生する計算になります。
揃える工程が1つ無くなるのでそれは好タイムが出ます。
ですが
フェリックス氏の動画を見て納得いかない点があります。
それは
「OLL完了からタイマーを止めるまでが早すぎる事」
・・・おらく世界記録を持つような本当のトップレベルの人たちは、OLLを回し始めると同時にPLLがスキップされるという所まで先読みができていると考えられます。
だからOLLを回し終えると同時にタイマーを止めにいけていると予測できます。
しかし!
OLLの時点でPLLスキップの判断をするためには、ルービックキューブの上段全てのキューブの位置と向きを把握しないといけません。何より、どのパターンでPLLスキップが発生するか事前に暗記しておく必要があるはずです・・・。
まとめ
この記事では、3×3のルービックキューブの単発世界記録「4.22秒」について解説しました。
記録保持者フェリックス氏が最速でルービックキューブを揃えるために持っている秘密の能力がこちら。
ポイント
- 頭の中で先読みする能力
- 一瞬でキューブの位置と向きを把握する能力
- PLLスキップ判断のための暗記する能力
- 高速で回転させるための指の器用さの能力
フェリックス氏のスキルの高さがよく分かりましたね!
ルービックキューブは練習すれば誰にでも揃える事ができます。興味がある人はこちらの記事を参考に解き方を覚えてみて下さい。
